新感覚統合検査JPAN2・ADAPP情報
●JPAN2・ADAPPについて
日本感覚統合学会検査開発委員会は,日本版ミラー幼児発達スクリーニング検査(JMAP)にかわる検査である Assessment for Developmental Abilities in Psychology and Physiology (ADAPP)と感覚統合の診断検査としてのJPAN感覚処理・行為機能検査の改訂版であるJPAN2感覚処理・行為機能検査の開発を行っています。
JPAN2感覚処理・行為機能検査(JPAN2)について
Q1.なぜJPAN2を開発する必要があるのか?
A1. JPAN感覚処理・行為機能検査(JPAN)は2010年の標準化から10年以上がたちました。子どもの発達は時代とともに変化するため,発達検査は10年をめどに再標準化することが推奨されています。また、JPANは検査時間がかかりすぎる、道具が多くセッティングが煩雑など使用のしにくさが問題としてありました。これらJPANの問題を解消し、現代の子どもの発達に適した検査とするためにJPAN2の開発が必要となります。
Q2.JPANとどこが違うの?
A2.これまでの研究でJPANは感覚統合の診断検査として優れた検査であることが証明されています。そのため、JPAN2はJPANを引き継ぐ形で開発を行いました。ただし、研究成果や臨床での使いやすさ等を検討し,検査項目や方法の見直しを行い、以下の点について改訂をしています。
①適応年齢を4-10歳から4-12歳までとしました。小学6年生までを対象にできます。
②JPANの研究成果に基づき感覚統合の問題を捉えることにすぐれた検査のみを残しました。また、新たにいくつかの検査を加えました(32検査から27検査)。
③一つの下位検査に含まれる項目数を減らしました(例;かっこよくまねしよう10項目から8項目、蝶が止まったら教えてね30項目から18項目など)。
④検査方法が煩雑なものについて検査方法を変更しました(例:ヨットでピタッ)
⑤使用がしにくかった検査道具を見直しました(例:仲良くおひっこし、ケンパなど)
Q3.標準化には何名のお子さんが必要なの?
A3.1年齢あたり70名、合計630名のお子さんのデータが必要となります。また、標準化においては,人口統計にもとづき収集するため,関東地区や関西地区などの人口が多い地域はたくさんのお子さんのデータが必要となります。
Q4.私もデータ収集に協力できるのでしょうか?
A4.データを収集するには正確に検査ができ正確なデータを取得できることが必要です。そのため、データ収集は日本感覚統合学会認定講習会A‘コースを終了した方にご協力をいただいています。
Q5.JPAN2は、いつ完成するの?
A5.2028年の完成を目標としています。この目標の達成には、2026年までに630名のお子さんのデータが必要となります。ご協力をお願いいたします。
Q6.JPAN2の販売価格は?
A6.未定ではありますが、JPANよりも大幅にコストダウンする予定です。また、JPANをお持ちの場合は、追加キットのみの購入でJPAN2の使用が可能となるようにする予定です。
Assessment for Developmental Abilities in Psychology and Physiology (ADAPP)について
Q1. なぜADAPPを開発する必要があるのか?
近年、5歳児健診、児童発達支援事業の広まりなどもあり、発達障害児の早期スクリーニング、発達特性把握、支援を行うためのアセスメントツールの必要性がますます高まっています。日本では、JMAPが発達障害児のスクリーニングや発達評価に用いられてきました。しかしながら、JMAPは刊行から35年以上が経過しており、標準データの刷新が必要な状況となっています。そこで検査開発委員会では、JMAPを改訂し標準データを取り直すか、新たな発達検査を開発するか検討を行いました。検討の結果、新たにJMAPとは異なる機能を持つ発達検査を作成することとなりました。
Q2.JMAPとどこが違うの?
3つの違いを説明します。
①評価年齢の違い
JMAPの対象年齢は2歳9ヶ月~6歳2ヶ月、ADAPPの対象年齢は3歳0ヶ月~10歳11ヶ月です。ADAPPはJMAPより対象年齢が広くなっており、中学年までの学齢児も評価できるようになっています。
②評価領域の違い
ADAPPには、JMAPで評価されていた発達領域は網羅できるように感覚識別能力、協調運動能力、運動企画能力、言語能力、視覚認知能力をとらえられる検査を含めました。これに加え、他者の気持ちを読み取る能力、衝動的行動を抑制する能力をとらえる検査を含めました。そのため、JMAPよりも多くの能力をとらえられるようになっています。
③検査の役割の違い
ADAPPはJMAPのようなスクリーニング検査としての機能に加え、発達検査としての機能を持てるように開発しています。JMAPでは、それぞれの年齢群に合った検査項目を少数用いることで検査を短時間に実施できる利点がありますが、各検査項目でとらえる能力が何歳レベルなのかをとらえることができませんでした。そこでADAPPでは、2種類の使い方ができるように開発を進めています。一つはJMAPと同様にそれぞれの年齢群に合った項目のみを選択して実施する方法です。もう一つは子どもの発達レベルが何歳レベルかを評定する方法です。積木構成の課題を例に説明します。例えば、5歳児にスクリーニングとして積木構成の課題を用いる場合、5歳児に適した数項目を用いて評価します。そのスコアを用いてスクリーニングに役立てます。一方、発達レベルをつかむためには積木構成課題を3歳レベルから5歳以上のレベルまで実施して、何歳レベルの課題ができたかを評価します。このようにして各機能の発達レベルをとらえるようになっています。
Q3.標準化には何名のお子さんが必要なの?
ADAPPは年齢群ごとに100名を目標に標準データを集めています。3~6歳は半年ごとに年齢群を設定し、7歳以上は1歳ごとに年齢群を設定しています。そのため、1200名のお子さんのデータを収集することを目標にしています。
Q4.私もデータ収集に協力できるのでしょうか?
ADAPPのデータ収集者の要件は、感覚統合療法認定講習会Aコースを修了した方、または感覚統合学会講師によるJMAP講習会(学会主催でも自主開催でもOK)を受講した方となっています。より多くの方にご協力をお願いしたいです。
Q5.ADAPPは、いつ完成するの?
当初の計画よりも、標準化が遅延していますが、2027年の完成を目指しています。
Q6.ADAPPの販売価格は?
未定ですが、より多くの支援現場で活用していただくことを想定していますので、他の発達検査よりも低価格で販売できるようにしたいと考えています。
●データ収集者のためのJPAN2研修会
現在募集中の研修会はありません.
●データ収集進捗情報
2025年3月26日までのデータ収集の進捗状況をお知らせします。

●検査開発委員会からのお知らせ
2025年3月17日 関西医科大学医の倫理委員会に11名の方を追加申請し、承認されました。現在123名の方に協力していただいております。
2024年12月4日 関西医科大学医の倫理委員会に東北地区講習会を終了された8名の方を追加申請し、承認されました。
現在112名の方に協力していただいております。
2024年10月13日 東北地区講習会終了しました。8名の方に協力していただきます。
2024年9月10日 関西医科大学医の倫理委員会に講習会を修了された11名の方を追加申請し、承認されました。
現在104名の方に協力していただいております.
2024年8月3日 東海・北陸地区講習会終了しました。6名の方に協力していただきます。
2024年6月10日 関西医科大学医の倫理委員会に講習会を終了された23名の方を追加申請し、承認されました。
2024年5月26日 関東・甲信越地区講習会終了しました。19名の方に協力していただきます。
2024年5月12日 中国・四国地区講習会(施設開催)終了しました。4名の方に協力していただきます。
2024年4月4日 JPAN2マニュアルを加筆・修正し、google driveにアップしました。
最新バージョンは、JPAN2マニュアル_20240403 です。
2024年4月1日 関西医科大学医の倫理委員会に講習会を終了された66名の方を申請し承認されました。
2024年3月24日 関西地区講習会終了しました。10名の方に協力していただきます。
2024年3月10日 九州地区講習会終了しました。16名の方に協力していただきます。
2024年3月 2 日 中国・四国地区講習会終了しました。17名の方に協力していただきます。
2024年2月25日 北海道地区講習会終了しました。23名の方に協力していただきます。
2023年10月22日 関西医科大学にて講師・インストラクター向け講習会を開催し、24名の講師・インストラクターが参加しました。
●JPAN2データ収集に関するQ&A (2024年10月18日)

●JPAN2正誤表 (2024年9月10日)
